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本紹介『エルマーのぼうけん』編(利用者さん記事紹介)

こんにちは!サック就労移行支援センターです。
利用者さんがプログラムで書かれた記事を紹介いたします✨

「本紹介『エルマーのぼうけん』編」 PN:ガニメデさん

本の境界というものは実に曖昧だと思う。漫画でも絵より文章の多いものは数多いし、絵が増えて文章が少ない本になるとそれは絵本だ。特に小学校にある本というのは、その境界をうろうろしているものが多いと思う。しかしその一方で、境界線にある本たちは実に個性的だ。例えば『かいけつゾロリ』シリーズは奪い合いになるほど人気だし、『ミッケ!』は探し物をする絵本だが、これも大人気である。その一方で、自分は『タンタンの冒険』や『なんじゃにんじゃひなた丸』なんかを読んでいたが、大体誰も読んでいなくて全巻あっという間に読み終わってしまった。それ以来児童文学や教科書に載っている物語というものが好きなのだが、特にお勧めなのが『エルマーのぼうけん』シリーズである。

『エルマーのぼうけん』シリーズは1948年にアメリカで発売された。実に77年もの間、世界で愛されている作品である。勇気と知恵に富んだ主人公の少年エルマーが、どうぶつ島に囚われている竜を助けに冒険に出る物語だ。シリーズは三作出ており、それぞれのタイトルが『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』である。先ほど語ったあらすじは一作目『エルマーのぼうけん』のもので、『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』はその続編にあたる。どれも読みごたえがありつつ、読むのを躊躇わない厚さの本になっている。

この物語の見どころと言えば、なんといってもエルマーの知恵である。どんなピンチであっても機転を利かして乗り越える、実に爽快な物語だ。登場する意地悪な動物や人間たちを、日本でも大体百均で手に入る道具で対処していく。

ここで大事なのが、エルマーは一切相手に傷を負わせたり殺したりしないのだ。彼はただ困りごとを解決してあげて相手を夢中にし、その間に先に進んでいるだけである。やれ残酷だ、やれ卑猥だとコンプライアンスのうるさいこの世の中でも、うるさい人もぐうの音が出ない物語である。

エルマーを取り囲む環境も個性的だ。そそっかしくてせっかちなネズミや、王様が何を知りたがっているのか知りたくて、知りたがり病にかかっているカナリヤ達、『あおにゅうどう』を探そうとする農夫など、これ以外にも様々な登場人物に溢れている。冒険の舞台も広い。どうぶつ島やかれき町、ごびごび砂漠といった場所をエルマーは竜の背に乗って飛んでいく。冒険の最中の光景は、文章を読むだけで感じられるほどだ。海を越え山を越え、少年エルマーの旅路を追体験できるのは、読んだ人だけの特権である。

『子供向け』というのは実に難しいもので、大変正直であるし色眼鏡というものが無いに等しい。面白いと感じたものは熱狂的に好み、つまらないと感じれば見向きもしない。また『子供だまし』にもすぐ気づく。『子供が読むからこの程度で』という妥協はあっという間に看破されるのだ。子供向け雑誌の金字塔であるコロコロコミックの編集部が大切にしている理念であるが、自分は大いに同意する。

そんな中で『エルマーのぼうけん』シリーズは、最初に読んでもらった時から子供たちに大好評だったという。今どきは様々な娯楽に溢れているが、『本を読む』という体験は今でも求められる。年長者から本を読めと言われても、まず本へのハードルが高いという人は少なくない。その中でこれを読んで、読書体験への足掛かりになっていれば、筆者としては大変ありがたい限りである。

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